○音声に歪みを与える騒音が存在する場における高齢者の音声認識において、聴力低下の比較的少ない低い周波数帯域が妨害されると、高い周波数帯域はもともと聴力低下が著しく、認識の手掛かりは乏しいため、明瞭度が低下する。高齢者が言葉を理解するにあたっては低い周波数帯域の騒音が特に問題となる(図10中SN比=音声レベルと騒音レベルの差)。 ○語音に歪みが加わると、健常者と高齢者(感音性難聴者)との語音弁別能の差がさらに大きくなることから、聞こえの保障には、本人側の努力や福祉機器の利用だけでなく、音声や信号に加わる歪みを少なくする工夫が必要であることがわかる。具体的には、公共放送の音量と音質の改善、また、駅のコンコースなどにおいて、できるだけ吸音性の仕上げ材料を用い残響や反響を抑制する工夫などが必要である。
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